なにかにハマる瞬間
学生が、ある日ふっと研究に引き込まれる瞬間に立ち会うことがあります。それまで苦しそうだった実験が前に進み始めたり、バラバラに見えていたデータが意味を持ってつながったりしたとき、表情や言葉がはっきり変わります。その様子を見ると、「今、研究にハマったな」と感じます。そんな瞬間に立ち会うたびに、ふと思い出す場面があります。
『ハイキュー!!』のツッキーの、あの例の場面です。それまで少し距離を置いてバレーと向き合っていた彼が、熱くなるあの一瞬。その後ろ姿は、人が何かに本気でハマる瞬間そのもののように感じます。
研究室で学生の表情が変わるとき、あの場面と重なります。試行錯誤してきたことが無駄ではなかったと分かったとき、自分の手で前に進めることに気づいたとき、研究は一気に「やらされるもの」から「面白いもの」に変わります。
私自身にも、研究にハマった瞬間がありました。その経験があったからこそ、今も研究を続けているのかもしれません。当時、指導してくださった和田俊先生、後藤直宏先生には今も感謝しています。
研究は地道で大変なことも多いですが、ふと心をつかまれる瞬間があります。その一瞬に立ち会えることが、大学で教える仕事の大きな喜びです。
吉永

