論文受理のご報告と年末のご挨拶

本日、論文が受理されましたので、ささやかながら喜びのご報告です。
研究内容の詳細については、あらためて後日ご紹介したいと思いますが、本研究は、油脂の美味しさ、特に「コク」に寄与する成分に着目したものです。

・N. Yurue, A. Yoshinaga-Kiriake, A. Yamazaki, Y. Suganuma, S. Koishi, and K. Yoshinaga. Lactone and aldehyde release behavior of canola oil modified using sterols and their derivatives. J. Oleo Sci. accepted.

コクとはなにか

女子栄養大学名誉教授の西村敏英先生は、食品の美味しさを決める重要な要素の一つであるコクについて、「複雑さ」、「広がり」、「持続性」の三つの要素で表現できると述べています。
西村先生らは、玉ねぎに含まれる植物ステロールに香気成分を保持する作用があり、その結果としてコク味が増強されることを明らかにしました。
この考え方は、コクを特定の味や成分としてではなく、感覚全体のまとまりや余韻として捉える点で、非常に示唆に富むものです。

私たちの研究:オリザノールに着目して

私たちはこの研究に感銘を受け、植物ステロールと類似した構造をもつオリザノールに着目しました。
オリザノールは米油やコーン油に含まれる特徴的な成分であり、これらの油脂の風味特性に関与している可能性が以前から示唆されていました。
そこで香気保持機能について精査したところ、オリザノールは植物ステロールと同様に、ラクトン類やアルデヒド類といった香気成分を保持することが明らかとなりました。
この結果から、米油やコーン油を用いた調理食品において、オリザノールが「美味しさ」、とりわけコクの形成に寄与している可能性が高いと考えています。

年の瀬にあたって

さて、あと数日で今年も終わりです。
今年は私自身が本厄の年ということもあり、例年以上に慎重に過ごしてきた一年でしたが、周囲の先生方や共同研究者の皆さま、そして研究室の学生たちに囲まれ、無事に一年を終えることができそうです。
来年も引き続き、油脂に関する話題や研究成果を通して、「美味しさ」を科学する面白さを発信していきたいと思います。

本年も大変お世話になりました。
どうぞ皆さま、良い年末年始をお迎えください。

吉永