空気バターって、本当に「バター」?
皆さんは、最近話題になっている「空気バター」をご存知でしょうか?
これは、アメリカのスタートアップ企業が開発したもので、空気中に含まれる二酸化炭素から炭素を、水から水素を取り出し、
工場での化学合成によって「脂肪」を作り出し、その脂肪からバター様の食品を作り出す、というものです。
環境負荷を低減する新技術として、メディアでも大きく取り上げられています。
このニュースを見て、ある学生がこんな一言を放ちました。
「先生、これってバターじゃなくて、マーガリンですよね?」
……素晴らしい発想です。そのとおりなのです。
実は、日本では「バター」という名称は自由に使えるものではありません。
「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」によって、バターは生乳または牛乳を原料とすることが定められています。
つまり、空気中のガスから合成した脂肪を使った場合、法律上は「バター」と名乗ることはできません。
一方で、「マーガリン」はどうでしょうか。
「日本農林規格(JAS規格)」では、マーガリンは食用油脂を主原料とする食品と定義されています。
もし、二酸化炭素などから化学的に合成された脂肪が「食用油脂」として認められるのであれば、分類としてはマーガリンに近い、という考え方になります。
流行の言葉やキャッチーなネーミングをそのまま受け取るのではなく、
「それは本当に何なのか?」を科学的・制度的な視点から考える。
そんな力が学生の中にしっかり育っていることを、とても嬉しく感じた出来事でした。
吉永

