食用油脂は、高温加熱や精製工程(特に脱臭)において、3-モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステル(3-MCPDE)や グリシドール脂肪酸エステル(GE)といった有害微量成分を生成することがあります。

これらは国際的に規制対象となっており、安全な油脂の製造には 生成メカニズムの解明と低減技術の確立が不可欠です。

特に重要なのは、3-MCPDE やGEが体内で加水分解されると、発がん性が指摘されている「3-モノクロロプロパンジオール(3-MCPD)」や「グリシドール」を生成するという点です(図1)。

そのため、食品中の 3-MCPDE とGEを低減することは食の安全確保に直結します。

図1 3-モノクロロプロパンジオール脂肪酸エステルとグリシドール脂肪酸エステル

当研究室では、油脂中の前駆体である ジアシルグリセロール(DAG)・モノアシルグリセロール(MAG)を構成する脂肪酸種が、3-MCPDE/GE の生成にどのような影響を与えるか を詳細に解析しました。

その結果、以下の点を解明しました(図2)。【公開論文】

  • DAG由来の3-MCPDエステルおよびGE生成量は、MAG由来より一貫して高いことを確認。

  • リノール酸を含むDAGから最も多くの3-MCPDジエステルおよびGEが生成し、α-リノレン酸では熱分解により生成量が低下。

  • 塩化物の添加により、3-MCPDエステルおよびGE生成が顕著に促進。

  • 脂肪酸の不飽和度が高いほど汚染物質の生成を助長し、特にDAG中の脂肪酸構造が生成量を大きく左右することを解明。

図2 3-MCPD脂肪酸エステルとグリシドール脂肪酸エステルの生成経路